虹はなぜ見えるのか

水滴と光がつくる、虹の原理

太陽の光は白く見えても、ほんとうは虹の色が全部まざっています。

空気中の小さな雨つぶがその光を曲げて、色に分けて、あなたの目に返す。
それが、虹です。
太陽を背にして、雨のほうを見たときにあらわれます。

太陽を背にした子どもが、向こうの雨に出た虹のアーチを見ている様子
太陽を背にして、雨のほうを見ると虹が見える。
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正面+横、同時に。 落下を止め、主虹/副虹を切り替えながら、一粒の水滴の中で色ができる様子を見る ── 仕組みと見え方が一目でつながります。 全画面で開く ↗

なぜ七色に見えるの?

太陽の光は白く見えても、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の色がまざっています。雨つぶは小さなガラス玉(プリズム)のよう。光が中で曲がるとき、色ごとに曲がり方が少しちがうので、七色に分かれて出てきます。(ほんとうは色と色のさかい目はなく、なめらかに変わっています。)

なぜ太陽の反対側に出るの?

光は雨つぶの中で曲がって、来た方へ戻ってきます。だから太陽を背にして、雨のほうを見たときだけ見える。あなたの影の先(太陽の正反対)が、虹の輪の中心です。太陽が低い朝や夕方ほど大きく見え、太陽が高い真昼は出にくいです。

なぜ丸い(アーチ)の?

どの雨つぶも、太陽の正反対を中心に同じ角度で色を返します。その点を全部つなぐと、ぐるりと丸い輪。地面で下半分がかくれて、アーチに見えるのです。下のアニメで、無数の水滴が虹の輪をつくる様子を動かせます。

動かして見る

無数の水滴がつくる虹

Rainbow

20万の小さな水滴がつくる七色の虹。視点や光を動かすと虹も動き、一粒の中の色までズームできます。

▶ 自分で動かす(視点・光・ズーム)→

2本めの虹(副虹)は?

ときどき外側に、うすい虹がもう1本。これは雨つぶの中で光が2回はね返ったもの。色のならびが内側の虹と(外側がむらさき)になります。2本のあいだは少し暗く見えます。

虹のはしっこには行ける?/自分だけの虹

行けません。近づくと虹も逃げていきます。虹は“もの”ではなく、あなたと光と雨つぶの位置でできる角度だから。だからとなりの人は、あなたとは少しちがう、その人だけの虹を見ています。

自分で虹を作ろう

晴れた日、太陽を背にして、ホースや霧吹きで前に水をまいてみて。細かい水しぶきの中に、小さな虹が出ます。本物とまったく同じ仕組みです。

もっとくわしく(角度や数値)

原理 ── ひとことで

虹は「空にある物体」ではなく、光源と観測者の位置関係が空中に描く幾何学です。主虹の場合、反太陽点(自分の影の先)から 40.7〜42.4° の円錐上にある水滴だけが、裏面で1回反射した光を分光して眼に返します(副虹は2回反射で 50.4〜53.5°)。だから光が動けば色の出る位置も動き、自分が動けば虹も逃げる。水滴はそれを見せるスクリーンの粒にすぎません。

角度の異なる7つの水滴。中の色の点が少しずつ変わっていく
角度がほんの少し変わるだけで、水滴の中の色の点も変わる。

主虹と副虹 ── 反射の回数のちがい

水滴に入った光は、入るときと出るときに屈折します(これは2本の虹で共通)。ちがいは、水滴の中で反射する回数です。

  • 主虹(内側のはっきりした虹)=中で 1回反射。約40.7°(紫)〜42.4°(赤)に出て、外側が赤
  • 副虹(外側の淡い虹)=中で 2回反射。約50.4°(赤)〜53.5°(紫)に出て、色の並びが逆(外側が紫)。

反射が1回増えるたびに光は少し弱まり、帯も広がります。だから副虹は主虹より淡く・約1.8倍太く見え、2本の虹の間は光が届かない暗い帯(アレキサンダーの暗帯)になります。

物理の要点

  • :主虹 40.7°(紫)〜42.4°(赤)/副虹 50.4°(赤)〜53.5°(紫)。副虹は約1.8倍太く淡く、間は色のない「アレキサンダーの暗帯」。
  • :12波長の分光を足し合わせた連続スペクトル(7色の段階ではなく無段階)。
  • 色点の位置:主虹=水滴の縁の 約0.861R、副虹=約0.951R(最小偏角の入射角から計算した代表値。波長でわずかに変わる)。
  • 角度・色・帯の幅はすべて水の屈折率と幾何学から計算。操作で変えられるのは光源・視点・カメラなど、現実でも起こりうることだけ。

この原理でつくられた作品 ── Light Sculpture

このページのシミュレーションは、水の屈折率と幾何学から色の出る角度を計算し、CGで再現したものです。 そして下の映像は、アーティスト Shinichi Maruyama が、空中に舞う本物の水滴高速度カメラで実際に撮影しています。写真シリーズ《Light Sculpture》の記録で、 同じ原理を、現実の水の一瞬として捉えたものです。

Light Sculpture #22, 2019
制作の記録 ── note(日本語)Medium(English)
© Shinichi Maruyama / Light Sculpture